スティーヴ・エリクソン
Steve Erickson(1951-)
エリクソンはマジック・レアリスムの修辞を駆使して、さまざまな人物の内面の物語をものすごい強度と自由さで語りまくります。いまアメリカで最も評価できる作家の一人。
<小説など>
『彷徨う日々』Days Between Stations(1985)越川芳明訳、筑摩書房、1997年。
とんでもない第一作。親子三代にわたる映画と愛の人生の物語。LAは砂に埋もれてセーヌ川は凍ります。
『ルビコン・ビーチ』Rubicon Beach(1986)島田雅彦訳、筑摩書房、1992年。
『リープ・イヤー』Leap Year(1989)谷口真理訳、筑摩書房、1995年。
これはアメリカ大統領選挙のルポルタージュに、エリクソンの空想つきです。
『黒い時計の旅』Tours of the Black Clock(1989)柴田元幸訳、福武書店、1990年(福武文庫1995)。
ヒトラーに小説を書く男とかの物語。爆発する想像力です。
《おれが窓から見たのは、おれの二十世紀と並んで、ちょうどひとつの川が細長いナイフ形の島によって二つに裂かれるように、その隣を流れていくもうひとつの二十世紀だった。》
『Xのアーチ』Arc d'X(1993)柴田元幸訳、集英社、1996年。
ジェファーソンとサリーを中心にさまざまな男女たちの「百年(以上)の孤独」の物語。無意識の歴史無削除版。ちょっと傑作すぎます美しすぎます。MORE...
《「いいか、よく聞けよ」とエッチャーは小声で言った。「人間は三つのもののためにしか死なない。愛か、自由か、無だ」》
『記憶喪失鏡』Amnesiascope(1996)
『アメリカの遊牧民』American Nomad』(1997)
『真夜中に海がやってきた』The Sea Came in
at Midnight(1999)越川芳明訳、筑摩書房、2001年。
カルト教団の集団自殺から逃れ日本にやってきたクリスティンは、風俗店ひしめく歌舞伎町で謎の仕事を行う。地下鉄サリン事件など、カオス的事件の日付から成る「カレンダー」を作成する「居住者」の過去とは?(TRCの紹介文より)
<対談>
「無垢への幻想と記憶のマゾヒズム」、ラリイ・マキャフリイ著『アヴァン・ポップ』、筑摩書房、1995年。
『ドリーム:エリクソンと日本作家が語る文学の未来』越川芳明訳編、筑摩書房、1999年。
<参考・関連>
『現代作家ガイド2 スティーヴ・エリクソン』越川芳明編、彩流社、1996年。
<リンク>
Novels and Other Works By Steve
Erickson