2010年代の映画

★三つ以上がおすすめな映画。ただ、滅多に映画館に行かない人は、ぼくが四つ以上つけたものを見た方がいいと思う。映画がどんなに素晴らしいものかってことがよく分かると思う。フランスにいるので日本公開より先に見てます。

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Shutter Island

2010年二月

Avatar,

立体3D映画時代が本格的に始まったことを告げるこの映画は、事件であると言ってよい。これがハリウッドの大作であるだけに少なくない映画作家を恐怖に落として入れているみたいだけど、今後全部が全部立体の映画になるとは考えにくい。ただ、立体にする価値のある映像というのは存在する。

Hedevitch

The Mother,

Invictus

Ne change rien

La tisseuse

I love you Phillip Morris

Lovely Bones

In the air

 

2010年一月

Solist, Joe Wright

いかにもニューヨークな感じで始まるこの映画、なかなかクレバーな作りだ。いつもネタを探している新聞記者と有名な音楽学校を出たのに路上生活者になっているヴァイオリニストが出会って、記者が彼のことを記事にしたり世話していく。実はヴァイオリニストは精神分裂症者で、二人が仲良くなるのに相当障害がある……という話。一見すると精神病者がテーマみたいだけど、人と人が信頼し合うということはどういうことなのか、という普遍的なこと(『レイン・マン』みたいな)が問題になっていて感動的な瞬間がある。精神病者の描き方も相当現実に忠実のようだ。良質なヒューマンドラマ。★★★

Agora, Amenabar

アメナーバルは『海を飛ぶ夢』を撮った人。あの映画には正直吐き気がしたけれど、みんな絶賛していた。で、この監督、今回はブロックバスターみたいな歴史劇を作った。一貫性がない感じだが、もともとたいした監督ではないのでどうでもよい。でもこの映画は演出もたいしたことないしキャラクターにも説得性がないけれど、主人公の女性哲学者には興味を惹かれた。彼女はただ一人で宇宙の謎に挑戦していて、事実そのものを相手にしている。それはゼロからの出発であって、ただ自分の思考だけが頼りだ。こうした哲学の描き方には関心させられた。しかしほかの要素はほんとに低レベルなのが残念。★★

Bright Star, Campion,

ジェーン・カンピオンの映画はけっこう追っていて、彼女の映画に出てくる女性ってのは女性にしか描けないものだと思う。さて、今回は彼女の最高傑作として人の心にいつまでも残る可能性をもった作品だ。詩人キーツに恋をする女性の話だけど、二人の愛の話と、詩の世界に生きる人の話が混ざり合って、なおかつ美しいシーンで固められていて素晴らしい。ここには一流の演出がある。今年見るべき映画の一つなのは間違いない。とくに、キーツが詩の世界に没頭している様がよく描けていた。言葉の芸術を極めようとする人間がどんなふうに言葉と係わって生きているのか、そんなことを感じさせる。愛と芸術のこのうえなく美しい賛歌だ。★★★★

Les chats persans, Ghobadi

イランの地下ロックシーンを生きる若者の話。いろんなイランの現代ポピュラー音楽が聞けて楽しい。でも、ただのクリップビデオの寄せ集めと言われても仕方のない映画なのは確か。ただ試みとしては面白いし、アングラの音楽に目を付けるのはよいと思う。筋と演出が凡庸なのが残念。★★

夜な夜なペンギン, Rintaro,

このアニメ監督の映画は初めて見る。監督自身が上映に来ていたので話を聞くことができた。彼が言うには、3Dで作るのは初めてだったけど、新しいことができたのでよかったみたいなことを言っていた。ここで言う3Dとはコンピューターグラフィックスで作った映画ということ。正直アニメでなくても3Dはよく使っている。それに、いま「3D」と言うと眼鏡を掛けると立体になるやつのことのことを指すのが普通だ。そして、すでに立体の優れたアニメが出てきている。その時代に昔の意味の3Dアニメを作って喜んでいる監督が少し可哀想な気がした。正直、3Dアニメというのは工業作品のような感触がするし、人物の表情も乏しい。カメラの動きは確かに自由になるが、たいした効果をここでは挙げていない。話は絶望的なほど凡庸で、すべての要素が借り物だ。しかし、不思議なことに胸を打つシーンがある。小さな子ども向け。★

Une vie toute neuve, Lecompte

孤児院に捨てられた韓国の小さな女の子の話。女の子がかわいいし、その惨めな心境に感情移入して見てしまう。とてもよくできた映画だ。ただ少し演出が古典的だけど。★★★

 

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