自己紹介をしなければならない事態が嫌いである、ということはわたしが人付き合いにあまり熱心ではない、ということなのかもしれないのだか、自分に興味を持ってくれない人に自己紹介をしてもまったく効果のないことであり、そうでない人は、自己紹介なんてしなくてもそのうちこちらのことを知るようになるのだろうから、わたしが自己紹介をすることによって意図することは、初めて人がわたしを見たときに抱くであろう先入観を破壊することだけだ、とはじめに宣言しておこう。
これは最近気がついたことなのだが、どうやらわたしは、自分にとってわかりきっていることは、人に説明しようとはあまりしないみたいだ。もちろん、すぐに説明できることなら説明するだろうけれども、わかりきっている、とは言っても、それをわかりきるまでにはいくつかの過程がわたしにとっては必要であったものごとなどは、その過程を経ることなくしては理解することができるはずがないのだろうから、どうしても他人に簡単に説明することが難しくなる。
単に自分にとってわかりきったことを人に説明しても、わたしにとっては何のプラスにもならないことなので、説明するのが面倒である、というわたしの性格の問題も確かにあることなのだが、そのことに興味を持たない相手に対して語りかけても何も通じない、ということは真実である。
人に自分の言葉でなにかを説明するのが面倒であるわたしにとっては、人に本をすすめる、という行為は非常に重要な伝達の方法の一つ、ということに必然的になるのだが、すすめた後で、その本を読んで考えて書いた文章を読んでもらう、あるいは話し合う、ということなくしては充分ではない、
のだが、そこまでいかなくても、ここで紹介しているいくつかのテキストや詩を読む喜びを他の人にもわけあたえることができれば、それだけでもハピーである。