2000年代のBest Albums

Radiohead, In Rainbows, 2007

至福の音楽が生まれる同時代に生きる喜びを感じさせてくれる一枚。きっとバッハのブランデンブルグとかをバッハ本人の演奏で聞いた人たちも同じことを思ったに違い。もちろん、このアルバムはネットで配信されたわけで、本人たちの演奏を見たわけではないけれど、この同時代最高の音楽がほぼ無料でしかも公にネットに流れているというのは幸せとしか言いようがない。

これはとにかく打楽器の使い方が面白い。

Led ZeppelinにPink Floydを混ぜたらこうなったという感じか。いや、それどころではない。このアルバムにはこれまでのポピュラーミュージックの全歴史がつまっている。全歴史と言ってもそう単純なものではなくて、彼らRadiohead自身がその歴史を自分なりに消化しているわけであってその歴史観というのはまったくオリジナルなものである。このアルバムを起点として、新しい歴史を書くことができるし、むしろそうしなければならない。そういう意味で、これは単にとびきりのよいアルバムというだけでなく、歴史的に重要なアルバムだ。彼らは未来を提示すると同時に過去を書き換えた。