アヴァン・ポップな音楽館

 ドイツ語では、まじめな音楽Ernste Musik(E-Musik)と娯楽音楽Unterhaltungsmusik(U-Musik)という分類があって、その両者の中間に属する音楽をアヴァン・ポップと呼びます。というのは、E-Musikはクラッシックや現代音楽、それに伝統音楽(雅楽とかかな)ということで問題はないのですが、「娯楽音楽」の幅は少し広いのですね。これがヒット曲や流行歌のみを指すのか、それともジャズやワールドミュージックまで含めるのか、という問題ですね。そこで、アヴァン・ポップなる概念が登場するわけです。アヴァン・ポップというのは娯楽音楽にしては先鋭的で進歩的な音楽のことを指します。つまり、ベニー・グッドマンは娯楽音楽だけど、チャーリー・パーカーはアヴァン・ポップになるわけです。んでも、ここで私が取り上げたいのはよりロックに近い音楽を演奏している人たちです。
 ロックというのは今日では地域性を失い、普通のポップスと変わりがなくなってきていますが、当初はより多様なものでした。とくに北アメリカ大陸で60年代後期に花開いたロック文化においては、大陸の多様な音楽の源泉を取り入れ、なおかつ高度な文学性をその歌詞に備えることによって飛躍的な発達をとげました。この時代ほど急激な音楽上の様々な交流・進化が起きたことは、人類史上かつてなかったのではないかとさえ思わせます。アングロ・アメリカの音楽的な様々な源泉とは、イギリスやフランス、アイルランドなどヨーロッパを起源とする白人の音楽(バラッド、ミュージカル、ヒルビリーなど)、黒人奴隷によってアフリカから持ち込まれ、あるいは奴隷生活中に発展した音楽(ゴスペルやブルースなど)、南部の都市で発展した黒人による都会的な音楽(ジャズ、ラグタイムなど)などなどです。こうした生活に密着した深い起源をもつ音楽が60年代にはさらに混ざり合い、それまでのポップスの枠には入りきらない多様な音楽が生まれたのです。なので、この時代のロックを「若者文化」と呼ぶのは精神的には正しいかもしれませんが、音楽的には誤りなのです。それは、アメリカという土地に育った希有な音楽的資産を発掘し、展開する運動だったのです。
 以下にとりあげるミュージシャンたちの音楽は明らかに普通のポップスの方向性からはずれた、まさにアヴァン・ポップな人たちであろうと思います。アヴァン・ポップをどう定義するのかは難しいですが、個人的にはビートルズの『リボルバー』は間違いなくアヴァン・ポップであり、ストーンズも一時期は確実にアヴァン・ポップであったし、ソニック・ユースなんかはアヴァン・ポップなロックのハイレベルな後継者だろうと考えます。なお、以下の人物たちの出身は大部分がUSAではなくカナダであり、なかにはほとんどロックに含まれない人もいます。しかし選考の厳格な基準があるんです。それは、地域に根ざした音楽を取り入れつつも、独自の音楽的な境地を切り開いていったミュージシャンである、ということです。この点における彼ら(彼女ら)の音楽的な評価は揺るぎないものです。
 あとほかに個人的な好みもありますね。基本的にボーカルが素晴らしいこと。さらに、メロディーで聞かせるのではなく、演奏で聞かせるタイプであること。ボーカルとパフォーマンス、どちらも同じ程度に聞かせないとどうも好みの範疇に入ってきません。もちろん、サウンドの幅がある程度広いことも条件です。ほかには、独特の精神世界をもっていることがありますが、一番大事なのは音楽を通して何に近づこうとしているかということでしょうか。これはいろんな方向があってもいいんです。最近のディランのようにアメリカンミュージックの伝道者を目指すのもいいし、最良のヴァン・モリソンのようにスピリチュアルな世界を追求するのもいいんです。彼らは音楽を通していろいろな世界を見せてくれますが、それがほんとうに楽しいんですね。

ベストアルバム(Best Popular Albums' List)
 

ボブ・ディランはロック・ミュージックの先導者にして詩人。驚くべきことに最近方向性を少し変えた。

レナード・コーエンはカナダ出身の詩人。独特な音楽(ちょっと基督教的)を猥褻な声で歌う。

ヴァン・モリソンはベルファスト出身。スピリチュアルな孤高のシンガー。日本に来ないの。

ニール・ヤングはカナダ出身のロッカー。60年代組だけど今でも非常に元気。武道館って音だせないのか?

ザ・バンドは60年代にルーツ音楽を発掘した先駆的なバンド。その音楽は非常に高度。

ブルース・スプリングスティーンのページも作った。ライジングはよかったねえ。

アラニス・モリセットもあるぞ、文句あっか!

一青窈は日本のミュージックシーンの中で非常に独特な音楽世界をもつ人。声がいい。

ポール・サイモンはサイモン&ガーファンクル時代が有名だが、ソロも実は極私的に素晴らしい。

ジョニ・ミッチェルはついに音楽活動に復帰した。そのうちページ作ります。

そのほかいろいろ

現代音楽名盤選

各種考察

ロック

ジャズ 

R&B 

ラップ 

カントリー 

ブルーズ  

エレクトロニック Autechre, The Prodigy, Daft Punk

ラテン 

レゲエ Mango Groove,

ワールドミュージック

うーん、ほかにどんなページがあったっけ?