『絲の太陽たち』 Fadensonnen (1968)


(噛み傷) 
Dir Spur eines Bisses

どこでもないところにある噛み傷

それともおまえは
戦わねばならない、
ここから。

中村朝子訳


(雨でぬかるんだ)

雨でぬかるんだ足跡の上に
静寂という奇術師の語る小さな説教。

それは、あたかもおまえが聞くことのできるかのようだ、
あたかもぼくがおまえをまだ愛しているかのようだ。

中村朝子訳


(きみは) 
Du warst

きみはぼくの死だった――
きみをぼくはひきとめておくことができた、
すべてがぼくから脱落したときも。

飯吉光夫訳

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