『言葉の格子』 Sprachgitter (1959)


「暗闇(テネブレ)」 
Tenebrae

私たちは近くにいます、主よ、
近くにいてつかむことができます。

すでにつかまれています、主よ、
たがいに爪を食い込ませ、あたかも
私たちひとりひとりの肉が
あなたの肉であるかのようです、主よ。

祈りなさい、主よ。
わたしたちに祈願しなさい、
私たちは近くにいます。

私たちは風のようにふらふらと進みました、
沼地の窪みであっても、そこに身を屈めようと
私たちは進みました。

水飼い場へ、主よ、私たちは進みました。
それは血でした、それは
あなたがまきちちらしたものでした、主よ。

それは輝いていました。

それは私たちの目にあなたのイメージを投げかけました、主よ。
目と口はそれほどまでに開かれ、それほどまでに虚ろだったのです、主よ。

血と血のなかにあったイメージを、主よ、
私たちは飲みました、主よ。

祈りなさい、主よ。
私たちは近くにいます。

ジョン・E・ジャクソンの仏訳からの谷口博史による訳

戻る